灯りの落とされた部屋。床に描かれた魔法陣。光を発するのは周囲に立てられたロウソクのみで、魔法陣の周囲には様々な法具が並べられている。
そして、魔法陣の傍らに立つひとりの少女。目を閉じ、ただえんえんと、常人には解せぬ言葉を呟いている。
魔術。……人はそう呼ぶ。
見えぬ魔力の渦が、しだいに力を増し、魔法陣に集まっていく。
「さあ、来ぃや。最強のデバイス、レイジングハート」
少女は確信していた。必ず、“それ”が現れると。
魔力の渦は臨界に達し、渦自体が明滅を始めた。最初は赤、そして青、やがて白い光を放つ。
「我が前に、その姿を示せ、レイジングハート!」
部屋が、真白い光に包まれる。その中央部……魔法陣の中心に、ひとつの人影が浮かんだ。
「来た!」
光は少しずつ収束し、やがて部屋は元の暗さに戻る。少女は、光の中に現出した人影を捜した。そして……
『はじめまして、マイスター!』
無邪気な、幼い少女の声だった。足下を見遣ると、そこには、体長20センチメートルほどの可愛らしい少女が、ちょこんと嬉しそうに立っていた。
「な、なんやねん、これはーーーーーっ!!!!!」
- 2007/01/21(日) 20:00:12|
- 第1章
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高町なのはは、その日もいつもどおり、クラスメイトたちと下校を共にしていた。私立聖祥大付属高校に通う、ごく普通の高校1年生。フェイト・ハラオウン、アリサ・バニングス、月村すずかの3人は、小学校のときからずっと同じ学校に通っている。
3人と別れ、家に帰ってほど無くして、なのはは学校に宿題のテキストを置き忘れてきたことに気づいた。
すでに夕暮れを迎え、もうすぐ陽が完全に落ちる。それでもなのはは、学校に行くと家族に言い残し、人の気配が無くなった校舎へと向かった。教室でテキストを手にし、すぐに帰ろうとしたとき。
ふと窓から見遣った薄暗がりの校庭に、なのはは2つの人影を見つけた。
ひとつは男性。身長ほどもある大槌を構えた、屈強な男だ。そしてもうひとりは、背中に漆黒の羽根を生やした銀髪の女性。手には、羽根を象った扇状の武器を持っているが、男の大槌に比べるとやけに頼り無く見えた。
なのはは不思議なほど恐怖を感じること無く、それが現実であることを確かめるため校庭へと下りて行った。
彼女が校庭に出ると同時、男の大槌が銀髪の女に向けて振り下ろされた。女は銀色の鉄扇でそれを易々と払い、男の脇腹を衝こうとする。しかし、男はその巨躯からは想像できぬほど素早く動き、女の一撃をかわした。
この間、わずか1秒。およそ人とは考えられぬ戦いだ。
その光景に呆気にとられたなのはは、無防備にも、2人の視界に入る場所で立ち尽くしてしまった。
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- 2007/01/28(日) 00:04:27|
- 第1章
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その夜、なのはは、なかなか寝つけなかった。夕方のこともあるが、それ以上に何か嫌な予感がする。ベッドの中で何度も何度も寝返りを打ったあと、なのははトイレに起き出した。
そして、部屋を出ようとしたそのとき。彼女は、夕方に感じた、あの得体の知れない違和感に包まれた。それは間違いなく、はやてが《結界》と呼んでいたもの。
直後、なのはの背後で、ガラスが大きな音を立てて割れた。
振り返らずとも、そこに居るのが誰なのか、なのはには直感できた。
グラーフアイゼン。大槌を手にした巨漢の男が、なのはの部屋に立っていた。
危険を感じ、なのはは廊下へ飛び出した。どこへ逃げればいいかはわからないが、とにかく逃げなければならない。夜の街へ飛び出し、ただひたすらに駆ける。
街は、死んでしまったかのように静まり返り、人の気配がまるで無かった。なのはがどれほど助けを呼ぼうとも、彼女に姿を見せるのは、グラーフアイゼンのみ。
なのはは公園に逃げ込み、隣接する雑木林に身を隠した。そして身をかがめ、グラーフアイゼンがあきらめてくれるのを待つしかない。なのはには、あんな屈強な男と戦う術が無い。
あの、はやてに従っていたリインフォースのように……。戦ってくれる存在が在れば……。
はたして、なのはの強い想いは、彼女の力を覚醒させた。何も無いはずの地面から、それは赤い光を放ちながら、ゆっくりと浮かび上がってきた。
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- 2007/02/04(日) 21:06:07|
- 第1章
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