『Drive Ignition』
レイジングハートから放たれた紅き閃光の中、なのはの姿が変貌する。
私服は白き法衣へと形を変え、ただのペンダントでしかなかったレイジングハートは、彼女の背丈ほどもある杖に変化した。そして、ブーツから広がった白き翼の力で、なのはは刹那のうちにフェイトとシグナムが居る宙空へと到達した。
『Flash Impact』
「くっ!」
予想だにしなかったなのはの介入に、フェイトはシグナムから離れた。なのははシグナムの体を受け止め、地上へと送り届ける。
「あとは、わたしに任せてください」
そう言い残して飛び上がるなのはを、シグナムはわけもわからず見送るだけだ。
実のところ、当のなのはも、状況を理解できていない。なぜこんなことができるのか、彼女自身にもわからない。しかし、握る手の先にあるレイジングハートから、いま自分が何をすべきか、彼女の意識に流れ込んでくる。
だから、迷うことは無い。迷っている余裕など無い。
『Let's surely help out your best friend.(必ず、親友を救い出しましょう)』
「うん!」
なのはは、レイジングハートの言葉にしっかりと頷いた。
「フェイトちゃん!」
そして飛翔し、再び、フェイトとの間合いを詰めた。その速さは、フェイトにも全く劣らない。
打ち込まれたレイジングハートと、フェイトが纏う迸る闇の剣が空中でぶつかり合い、激しく火花を散らした。
「邪魔をしないで」
フェイトは膂力でなのはを弾き飛ばし、彼女の体勢が崩れたところへすかさず攻撃魔法を放つ。
『Protection』
しかし、その攻撃は、レイジングハートが展開した防御陣によって、いとも簡単に防がれた。
『Accel Shooter』
逆に、なのはの攻撃魔法が、フェイトに襲いかかる。
互いの全力を尽くした魔法が、空中で幾度となくぶつかり合った。
「あれって……?」
見上げるアリサとすずかにも、なのはにいったい何が起こったのか、理解できなかった。
「あれが、デバイスの本当の形です」
おそらくここに居る中で唯一、事情を知るリインフォースが、喜びを声に込めながら語る。
「本当の形?」
「はい。聖杯戦争に勝ち残り、聖杯破壊を託すに足る力と技……そして“心”を持ったマスターであると、全てのデバイスが認めたとき、そのマスターの持つデバイスは真の姿に変化します。元々、デバイスは独立した存在では無く、マスターと共に在るもの。マスターと一体化したとき、デバイスは最大の力を発揮します」
「なのは……」
アリサは、フェイトと対峙するなのはを、希望に満ちた表情で見上げた。
リインフォースの話を、全て正しく理解できているわけではない。それでも、なのはが新たな力……フェイトを救い、全てを元に戻すための力を手に入れたことはわかる。
「なのは! さっさと終わらせて、フェイトを連れて帰ってきなさいよ! ちんたらやって、これ以上、あたしを怒らせるんじゃないわよっ!!」
叫ぶアリサの表情は、言葉とは裏腹に、期待と確信に満ちていた。
- 2007/08/02(木) 01:40:04|
- 第24章
-
-
| コメント:0